プア~~~


間の抜けた音が校庭に響いた。


「そうそう。
ま、最初は音が出ただけでも上出来だから」


情けない音ながら、ちゃんと鳴った。


「筋は悪くないよ」


驚いて腕の中のホルンをしげしげと眺めていると、パートリーダーの小関先輩が笑いながら拍手をくれた。

水曜日の午後。

授業も早めに終わり、アタシは、吹奏楽部の仮入部に来ていた。


「はーい、じゃあ集まって~」


小関先輩が、あちこちに散らばっていたホルン希望の1年生と、指導者役の上級生に声をかける。