「タキガワミフウさん?」


春先の、心地いい日だった。

アタシは、真新しい制服のスカートがヒラヒラと風に舞うのを楽しみながら、まだ通い慣れない通学路を家へと歩いていた。
入学したて、まだ部活の勧誘も本格化していない、暇な午後。
日差しが柔らかくてこのまま帰るにはもったいない、散歩日和。

もう規則第一の中学生じゃないし、街に出ようか……。
でも制服じゃダメかな。
迷いながら歩いていた、その時だった。


「そう……ですけど……?」


誰だろう。

突然、後ろから呼び止められた。
知らない、声。


「やっぱり!!」


振り向くと、背の高い、若い男の人がと立っていた。


わ……。
すご……超カッコイイかも……。


目が合った瞬間、ドキリと胸が高鳴った。

色の薄い肌と、日に透ける髪。ダークブラウンの瞳。