薫子様、一大事でございます!


「この子も一緒に連れて行ってあげることはできませんか?」


黒猫のそばにかがみ込む。

喉を撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。


「……その黒猫をですか?」

「はい。ずっと一緒にいたみたいなんです。この黒猫と離れたくなくて、家を飛び出したのかもしれません」

「……困ったわ」


私の提案に難しい顔をする高崎さん。


「実は、今度住むところはペットを飼えないんです」

「え? それじゃモモちゃんは?」

「実家の親が預かってくれることになっていて……。でも、両親とも猫が苦手で。無理を言って、何とか許してもらえたの。だから、モモ一匹だけならまだしも、もう一匹となると……」


そんな……。

それじゃ、やっぱり二匹は離れ離れの運命なの?