薫子様、一大事でございます!


「毎日のんびりしてたら身体がなまる一方だと思ってさ。昨日から走ってたんだよ」


モモちゃんを抱きかかえながら、北見さんは首からかけたタオルで額を拭った。


「ただですね、薫子様……」


滝山が困ったような顔で私を見る。


「どうしたの? 滝山」


聞いてすぐ、「みゃあ」という鳴き声が滝山の足元から聞こえた。



……え?



モモちゃんは、北見さんに抱かれてて……。


ゆっくりと視線を北見さんから滝山へ移すと、そこにはもう一匹、真っ黒な猫が滝山の後ろから顔を覗かせたのだった。