薫子様、一大事でございます!


「いや、そうじゃなくて」

「はい?」

「カコちゃんのネーミングセンスだよ」

「……何か変ですか?」

「いや」


クククと笑う。


「カコちゃんっておもしろいな」

「……そんなことを言われたのは初めてです」

「そう?」


コクンと頷いた。


通っていた女子高は、みんながみんなお嬢様。

どこか一歩引いたような友達関係で、お腹の底から笑い合うようなこともなければ、口ゲンカもなかった。

冗談を言ったことですら。


中には親友を持つクラスメイトもいたとは思うけれど、私にはそんな友人は一人としていない。