薫子様、一大事でございます!


「好きでも何でもない相手ですから」


当然のこととばかりにツンと顎を突き出すと、「DCHでございますしね」と滝山が付け加えた。

その通りだと、私も大きく頷く。


「その“DCH”ってのは?」

「デブでチビでハゲ、だそうでございます」


滝山が私の代わりに説明すると


「プッ!」


北見さんが噴き出した。


「デブでチビでハゲか。傑作だな」


ここへ来て初めての満面の笑みを見せた北見さん。

鼻にしわを寄せて、くしゃっと笑う。


「でしょう? そんな相手と結婚だなんて、考えられませんもの」