薫子様、一大事でございます!


「俺は、大企業の社長なんてガラじゃないからさ」

「それじゃ……」

「カコちゃんと銀さんさえ許してくれるなら、ここに戻りたいんだけど……」

「もちろんでございますよ! ねぇ、薫子様」


眩暈を起こしそうだった。


北見さんがまたここに……。


「薫子様?」

「それなら、どうして電話の一本もくれなかったんですか?」


北見さんがいなくなってから、ずっと不安で。


……悲しくて。


なんとかやり過ごしてきたのに。


嬉しくて飛び上がりたい反面、恨み言が出てきてしまう。