薫子様、一大事でございます!


このままいくと、これまで同様、調査失敗ということになりそうだった。



「一体何の調査?」


最初の頃こそ引きずっていたけれど、今日はまた一段と足の具合も良さそうに見える北見さんが事務所へ入って来た。


ドラッグストアで買ったのか、湿布が微かに匂う。


「猫なんです」

「猫?」

「はい、行方不明になってしまって、その捜索です」


そう言いながら、北見さんにモモちゃんの写真を見せた。


「随分と太った猫だなぁ」

「私も、そんなに大きな猫は初めて見ました」


依頼人に悪いと思いつつ、ふふふと笑う。