薫子様、一大事でございます!


「ま、別にいいんだけどね。それじゃ、俺はそろそろ失礼するとするよ」


北見さんは、立ち上がりかけて、「イテテッ」と足を押さえた。


パッと見、どこも悪くなさそうに見えるけれど、顔以外にもやっぱり怪我をしているらしい。


「そんな体でどこへ行くっていうんだい?」


隣にいた芙美さんがすかさず手を貸す。


「どこって……」

「そうですよ。それじゃ歩けないじゃないですか?」

「見たところ骨折はしていないようですが、打撲か筋を痛めたかもしれませんぞ」


滝山に言われて、北見さんは自分の右足を見つめた。


「少しここで体を休めてからにした方がいいと思います」