「おや、これまたイケメンだこと。久しくこんなオトコと出会っていないからねぇ」
芙美さんの言葉に、失礼な、とばかりに、滝山がコホンと咳払い。
イケメンならここにいると、自分のことを主張したいらしい。
「ほら、そんなときにはこれをお食べ。私が作ったぼた餅を食べれば、そんなもんすぐに治っちまうよ」
そう言って、箸でぼた餅を持ち上げると、有無も言わさず北見さんの口元へと運ぶ。
そして、あっと思う間もなく、無理矢理口の中へと入れられてしまった。
ゲホゲホとむせる北見さん。
慌てて差し出したお茶を飲んで、今度は「熱っ」と吹き出した。
「あ、ご、ごめんなさい。大丈夫ですか!? 熱すぎましたよね」
キッチンから急いで持ってきたタオルで濡れた服を拭うと、「大丈夫。自分でやるから」と言って私からタオルを取った。



