「……二階堂薫子?」
「はい」
「探偵事務所?」
名刺を見た北見さんは、信じられないといったように私を見た。
「といっても駆け出しで、何一つ解決してないんですけど……」
恥ずかしさと情けなさで、思わず目をそらす。
あんまりじっと見つめるものだから、身の置き所がなくて、熱いお茶をズズっとすすった。
「ちょっとお邪魔するよー」
そう言って入ってきたのは、芙美さんだった。
一気に事務所内が賑やかになる。
「昨日のタッパーを返してもらおうと思ってね。空で返してくれて構わないのに、薫子ちゃんときたら、いつも何かしら土産を詰めちゃうからさ」



