薫子様、一大事でございます!


「悪かったな」


そうされると、心細かったという弱音が口をついてしまいそうになる。

それを飲み込むように、淹れてもらったコーヒーを急いで口にした。


「――苦い」

「あ、そっちはブラックだ」


つまりは、北見さんの分ということ。


「こっちがカコちゃんのだ」

「で、でもっ――」


カップを入れ替えようとする北見さんを慌てて止めに入る。


私、口付けちゃったし。


「いいって、別に」


強引にコーヒーを交換。