薫子様、一大事でございます!


「これでもどうぞ。今、お茶もいれますから」

「これはこれは、ぼた餅じゃございませんか」


テーブルに並べると、滝山が歓声を上げた。


「昨日、芙美さんからいただいたの。滝山、好きでしょう」

「おっしゃる通りでございます。これに熱い日本茶は格別です」


ふと見ると、例の彼はぼた餅を前にして、喜ぶ滝山とは対照的なしかめっ面をしていた。


「ぼた餅はお嫌いですか?」

「ぼた餅というか、甘いものは全般苦手で……」

「そうなんですか……」


困ったわ。
他に何も食べられるものが……。


「それは大変損な人生を送っていらっしゃる」

「は?」


滝山の言葉に驚く。