薫子様、一大事でございます!


軽く釘を刺す滝山に、目の前の彼は笑うのをやめて、「……それもそうだな。悪かった」と殊勝な態度を示して、「ありがとう」と頭を下げた。



……よかった。



安心した途端、グゥと鳴った私のお腹。

慌てて抑えてみても、二人には聞かれてしまった。


滝山は「おやまぁ」と目を見開き、彼はクスっと笑みを漏らした。


コホンと咳払いで誤魔化し、何か食べるものを探そうと立ち上がる。

そういえば、昨日芙美さんからいただいたぼた餅があったんだ。



「薫子様、私がいたしましょうか」


腰を浮かせかけた滝山を止めて、タッパーからぼた餅を皿に取り分けた。