薫子様、一大事でございます!


それが自覚していなくらい大きなものになっていたことを、たった今思い知らされた。


……そっか。


そうだよね。
私じゃ恋愛対象外。

どこかで分かってはいたものの、事実を突きつけられると受け止めきれない。


ドアから離れて、冷たい壁に寄りかかる。

そうしないと立っていられないほどだった。



「薫子さん? どうかしたの?」


麻紀さんが戻ったのだった。


「あっ、いえ、何でも……」


慌てて笑顔を作った。


「そ? ならいいんだけど」