薫子様、一大事でございます!


――ど、どうしてそんなことを!?


芙美さんの質問が私の鼓動を速める。


「どうって、何がですか」


北見さんの本心を聞ける気がして、息を潜めた。


「いやだねぇ、分かってるくせに。夕べは一緒に泊まったんだろう?」

「……まぁ、そうですけど」

「あったのかい?」


“あった”?


「薫子ちゃんをモノにしたのかい?」


ドッキーンと胸が大きく弾む。


今朝起きぬけに見た北見さんの寝顔を思い出して、カーッと熱くなった。


「そんなことしてませんよ」