薫子様、一大事でございます!


滝山自ら、女装するなんて言い出しかねない。


派手な顔の滝山なら、それもアリだったかもしれないけれど。


「それじゃ、行きましょ」


変な想像をしている私に麻紀さんが声を掛けた。


「あの、私、一度事務所へ……」

「そうよね。北見さんを連れてきてもらわなくちゃ困るし。私は店長に連絡してから行くから、事務所の前で待ち合わせにしましょ」


麻紀さんを部屋に残して事務所の前まで来た私。


ドアに手を掛けて開けようとしたところで、中から芙美さんと北見さんの話し声が聞こえて、咄嗟に思い留まった。


というのも、数センチの隙間から聞こえたのが、私の名前だったからだ。


「正直なところ、薫子ちゃんとはどうなってるんだい?」