薫子様、一大事でございます!


――え?


これ、私……?


鏡に映ったのは、本人の私も知らない顔だった。


「……ちょっと濃すぎませんか?」


なんとなく予感はしていたけれど。

麻紀さん同様にバッチリメークを施された私は、いわゆるケバい顔になっていた。


「これでも抑えたつもりよ? 夜の仕事なんだから、これ以上薄くしたら店の中で全然映えないわ」

「……そう、ですか……」


見慣れない顔が鏡の中から私を見つめる。


滝山がこんな私を見たら、きっと驚くだろうな。

もしかしたら、腰を抜かしてしまうかもしれない。


あ、それ以前に、私にホステスの真似事をさせることに断固として反対していたかも。