薫子様、一大事でございます!


――とそこで。


……そうだ。
思い出した。


夕べは、北見さんと泊まったんだ。


でも……私の記憶に間違えがなければ、ソファで眠っていたはず。


あれ……?


北見さんも私も、ベッドにいる現状。

ここまで移動した記憶の欠片さえ見つからない。


ベッドマットの揺れに細心の注意を払いながら、まだ熟睡している北見さんにそーっと近づく。


うつ伏せで顔をこちらに向けた状態の北見さん。

スースーという一定のリズムで刻まれる呼吸。


気持ちよさそうな寝顔につい見入る。