薫子様、一大事でございます!


突然の謝罪に面食らいながら、お尻をストンとソファに沈める。


何に対してなのか分からなくて、そのまま疑問で返した。


「こんなところに泊まることになって」

「あ、いえっ、そんなことなら全然平気ですから」

「平気ってことないだろ」

「ほんと、大丈夫です……ハイ」


タクシーで帰るなんて、料金が恐ろしくて無理な話。

場所はともかく、泊まることになるのは仕方のないこと。


……とは言っても、慣れない雰囲気が落ち着くことを許してくれそうになかった。


手持ち無沙汰に、テーブルに置いてあったホテルの案内パンフを広げたり閉じたり。

そんなことを繰り返す私に、北見さんは


「カコちゃんも飲むか?」