薫子様、一大事でございます!


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信じられなかった。


電車が、ない……?


乗り継ぎの駅のホームに降り立った私たちは、時刻表を前にして呆然と立ち尽くした。


近くを通った駅員さんに聞いてみても


「最終の上りは30分前に出ました」


時刻表と答えは同じだった。


夜とは言っても、まだ8時台なのに。

最終電車がもう行ってしまっただなんて。


「俺が遅れたせいだな」

「……いえ。私一人でだって帰れたのに……」

「いや。カコちゃん一人で、この複雑な乗り継ぎは無理だろ」


そう言われると、返す言葉がない。