薫子様、一大事でございます!


避けようと顔を後ろに反らせたところで、不幸なことに壁にぶつかってしまった。


――どうしよう。


どんどん近づく早川さん。


だ、だめーーーっ!


「す、好きな人がいるんです!」


思い切って大きい声で叫ぶ。

すると早川さんは、そこでピタリと動きを止めた。


「……好きな、人?」

「……はい」


頷いた次の瞬間――……


「カコちゃん!」


――え!?