薫子様、一大事でございます!


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……はぁ、疲れた。


事務所へ帰って早々、ソファに深く腰を下ろした。


「お疲れ様でございました」


すかさず滝山が出してくれたお茶で喉を潤し、それでようやく生き返った気分がしたのだった。


あれから後、どこへ向かうわけでもなく、ひたすら街をブラブラした早川さんと私。


たまに早川さんの目に留まった店に入ったりしながら、それこそ普通のデートっぽくしたのだけれど。

そんなことに全く慣れていない私には、ただ苦痛で。


おまけに手まで繋がれてしまっては、逃げ場もない。


とにかく、疲れた、のひと言に尽きるのだった。


「北見さんは?」


帰って来てから、ずっと姿が見えない。