薫子様、一大事でございます!


「それで、どこ?」


猫らしき姿は見られず、ニャアという鳴き声すら聞こえない。


「ここでございます」


滝山が指差した先には――……





「――ひゃあああああ!!!!」





驚いて、その場に尻もち。

突いたお尻の痛みなんて、これっぽっちも感じなかった。


滝山の“一大事”は、正真正銘の一大事だったのだ。


「そ、そ、それって……死んでるの?」


心許なげな街灯の下にあるゴミの袋の山から、ニョッキリと二本飛び出た足、上半身は、その山の影に隠れていた。