薫子様、一大事でございます!


「それは……」


そういうつもりじゃなかったんだけど……。


「とりあえず、少しブラブラしながらお互いのことを話そうか」


不意に繋がれた手。

思わず「きゃっ」と悲鳴を上げた。


「彼氏に手を繋がれて、悲鳴を上げる彼女がいる?」

「ご、ごめんなさい」


クスクスと笑う早川さんに慌てて謝る。


「やっぱり、まだ練習しないとダメだな」


……練習。


その言葉に小さく溜息。


簡単に稼げる依頼だという思惑は、大きな誤りだったらしい。

早川さんに手を引かれて歩き始めたのだった。