薫子様、一大事でございます!


「……慎吾くん、そろそろ出ようか」

「よし、いい感じだ。あとは、そのぎこちない笑みじゃなくて、もっと自然に笑えない?」


そう言われても……。


口角をニッと上げてみる。


「あ、もういいよ」


極上(のつもり)の笑顔を作ってみたのに、早川さんは苦笑いだった。


早川さんに続いて喫茶店を出る。



「さてと、どこへ行こうかな」

「え? まだ終わりじゃないんですか?」


てっきり、これで終わりなのかとばかり……。


「そろそろ出ようっていうのは、場所を変えようってことじゃなかったの?」