薫子様、一大事でございます!


「……いい加減にしろ」

「だって、私よりひどいと思うんですけど……」

「よーし! それなら、今度は象だ、象!」

「象ですか? 分かりました」


鼻が長くて耳が大きければ、きっと象に見えるはず。


サラサラと思うままに描く。


……でーきた。


ふと隣を見て、思わず噴き出してしまった。


「な、なんだよ」

「北見さん、その像(らしきもの)、足が5本あります」


北見さんはハッとして自分の絵を見ると、慌てて余分な足を消した。

そして、何事もなかったような顔をする。


「カコちゃんのは、鼻が異様に長すぎるだろ」