薫子様、一大事でございます!


「では、他のものではいかがでしょう」


そう言って別の花火に火を点けてみたものの、そのどれもが黒こげになるだけだった。


「芙美さん、これ、湿気てますね」

「おやまぁ、やっぱりそうかい」


やっぱり?


縁側でビールを飲んでいた芙美さんが、サンダルを引っ掛けてそばへやって来た。


「実は、去年もらったものだったんだよ」

「そうでございましたか」

「花火は年を越せないのかねぇ」


バケツは、あっという間に花火の残骸でいっぱいになっていた。


「――そうだ。そういえば、ついこの間、景品でもらったものもあったんだよ。えっと……どこへしまったかな。納戸だったかな……?」