「おいおい、ベタな冗談を真に受けるなよ」 「じょ、冗談?」 北見さんがクククと笑いを堪える。 ……もう。 やだ、ほんとに。 「カコちゃんは、からかい甲斐があっていいな」 「やめてください」 いっつもからかうばかり。 そうじゃなくて……。 ――! ひょっこり顔を覗かせた“ある感情”を慌てて押し込めた。 「薫子様、ささ、こちらへどうぞ」 滝山が手に持つタイプの花火を差し出す。