薫子様、一大事でございます!


「で、正直どうなんだい?」

「何がですか?」

「北見さんのことをどう思ってるのか、ということさ」

「――ッ!」


芙美さんの突然の質問は、喉をすんなり通るはずの空気を変なところへと誘った。


何かが詰まったわけでもないのに、ゲホゲホとむせる。


「そ、それは、どういう意味でですか?」

「どういうって、薫子ちゃんだって分かってるくせに。イヤだよ、全く」


バチンと背中を叩かれて、前のめりになった。


「おやおや、ごめんよ。つい力が入っちまってねぇ」


悪かったと言いながら背中をさする。

そして、答えを待つかのように私の顔を覗き込んだ。