「両親のことだって心配だろう?」
「……はい」
それは、何よりも気がかりなことだった。
お父様もお母様も、一体どこにいるのか。
家が売却されてしまった以上、何の手がかりもつかめないまま。
一生会えない可能性だって、ゼロじゃない。
私が二人の所在を掴めないのと同様に、二人も私がどこにいるのか分からないのだから。
「でも、心配することはないさ。いつかきっと会えるから」
芙美さんの温かい手が私を包み込む。
……大丈夫、なのかな。
いつかは会えるのかな。
芙美さんにそう言ってもらえると、本当にそう思えるようになるから不思議だった。



