……ううん、そうすべきだった。
「芙美さん、やっぱりお話させてください」
芙美さんが目を瞬かせる。
「……いいのかい?」
「もちろんです」
私が答えると、芙美さんは居住まいを正して座り直した。
改めてこうして話してみると、どうして今まで黙っていたのかすら疑問に思えてくる。
濃厚だと思っていた自分の過去は、ほんの2、3分で話し終えてしまったのだ。
最後まで聞き終えると、芙美さんは私の手を握って「大変だってねぇ」としみじみ呟いた。
首を横に振る。
愛する旦那様を亡くした芙美さんからしたら、私なんてまだまだだ。



