「……芙美さん、私は、」
「――いや、いいんだよ、薫子ちゃん」
私が何を言おうとしているのか、瞬時に悟ったらしい。
芙美さんは、私の口に手を当てる真似をした。
「薫子ちゃんにしゃべらせようと思って言ったわけじゃないんだからね?」
「でも、」
「薫子ちゃんのことは、何となく察しがつくしね」
ぎこちないウインクをしてよこす。
「いいところのお嬢さんなんだろう? ――っと、いけない。聞かないなんて言っておきながら、私ったらしょうがないねぇ」
口の前に指でバッテンを作り、ハハハと笑った。
ついつい話しそびれてきたけれど。
ここまでよくしてくれている芙美さんには、きちんと話しておきたい。



