薫子様、一大事でございます!


一度目は、気分転換に。
二度目は、看病のお礼だとか言われて。


「2回だけです」


そういえば、バイクを借りるときに滝山が、「またお二人で行かれるんですか?」なんて、ちょっと寂しげにしていたような気もする。


「それで、北見さんって何者なんだい?」


何者……?


「……さぁ」


首を傾げる他に手立てがない。


どこから来たのか、何をしていた人なのか。

改めて言われると、何も知らない。


私が知っているのは、ここへ来てからの北見さんだけ。

二階堂探偵事務所に所属する、北見涼夜 30歳という情報しか持っていない。