薫子様、一大事でございます!


「待機、でございますか……」


不満みたいだ。

滝山は肩を落とした。


いつも私と二人で動いていたから、ちょっと可哀想な気もするけれど……。


「他の依頼がいつ入るか分かりませんから。今回の件のように、銀さんのような物腰の柔らかい人が応対してくれると、依頼人も安心でしょうから」


……確かにそうね。

執事として長年培った腰の低さは、相手に警戒心を全く抱かせないかもしれないわ。


「……そうでございますね」


滝山は、北見さんの言葉で一気に回復。


「せっかくの依頼を不在でダメにしたくはありませんから」


お任せくださいませと軽く一礼した。