薫子様、一大事でございます!


――――――――
 ――――――

「ただいま」

「おかえりなさいませ。初の尾行はいかがでございましたか?」


事務所へ戻った私たちを迎えてくれた滝山は、冷えた麦茶を用意して待っていてくれた。


北見さんと揃って、それを一気に喉へと流し込む。


私に「我慢しろ」と言った北見さんも、相当喉が渇いていたみたいだ。

飲み終わると、すぐにおかわりを欲しがった。


「今日は特に異常なしでした」


二杯目も飲み干した北見さんに続いて、私もおかわり。

それでようやくカラカラの身体に水分が行き渡った気がした。


「さようでございますか」