「ただいま」 北見さんと二人で事務所のドアを開けるなり、滝山が弾かれたようにソファから立ち上がる。 ……そんなに心配だったのかしら。 ヘルメットを手渡そうとしたその時 「薫子様、一大事でございますぞ!」 大きな目を更に見開いた滝山が、今にも飛び上がりそうに私へと駆け寄った。 「どうしたの?」 「依頼でございます!」 ……依頼。 依頼、ね。 ――え!? 仕事の依頼!?