薫子様、一大事でございます!


探偵事務所をやるきっかけ。

それは……


「……手っ取り早くできる商売かなと思って」

「は?」

「探偵って、資格がいらないらしいじゃないですか。ただ看板を立ち上げれば、それで立派な探偵事務所。それでです」


仕事もろくにしたことのない私には、会社勤めなんてものも今更無理に思えたし。

かといって、コンビニでアルバイトっていうのも、どうしても考えられなくて。


「やっていけると思った?」

「はい。思いました。ついでに言うと、もっと華々しい感じをイメージしていました」


もっと簡単に仕事が舞い込んでくるとばかり思っていた私。


それが大きな間違いだということには、すぐに気づいたのだけれど。