薫子様、一大事でございます!


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「ほれ、カコちゃん」


そう言って北見さんが差し出したのは、よく冷えたウーロン茶だった。

自販機から買って来てくれたらしい。


「ありがとうございます」


受け取ると、北見さんは私の隣に腰を下ろした。


海を見渡せる堤防。

だいぶ傾いた太陽が、海面にキラキラと乱反射する。


目の前には大きなテトラポットがひしめいていて、時折波しぶきをあげていた。



「気分転換といったら海だな。やっぱ気持ちいい」


北見さんは飲み干した缶コーヒーを堤防に置くと、そのままゴロンと大の字になった。