薫子様、一大事でございます!


このままじゃ倒れる!

そう思った瞬間、身体をグイと反対側に起こしたのが原因だった。


滝山はバランスを崩して、バイクもろとも転んだのだった。


幸い、バイクも私たちもかすり傷程度で済んだのだけれど。



――ププー!

突如、後ろから鳴らされたクラクション。


前を見てみれば、信号が青に変わっていた。


「とにかく、俺の動きに合わせること? いい?」

「……はい。頑張ってみます」


ヘルメットから覗かせた北見さんの目が、シュッと細くなった。