薫子様、一大事でございます!


「バイクが右に傾いたときには、カコちゃんも右に。左に傾いたときには左に。そうじゃないと運転しづらいんだよね」

「はい……。滝山にも同じことを言われました」

「じゃぁ、一度乗ったことがあるっていうのは、銀さんの後ろに?」


コクンと頷いた拍子に、再び北見さんのヘルメットにコツンとぶつかった。


このヘルメット、やっぱり重い。


「……もしかしてバイクの傷って、カコちゃんを後ろに乗せてて転んだとか?」

「――な、なんで分かったんですか!?」

「やっぱりね」


クククと笑う。


「銀さん一人で、あんな傷はつけないだろうなとは思ったんだ」


なんて鋭いのかしら、北見さんってば。