薫子様、一大事でございます!


ドキドキドキと激しく脈打つ胸。


こんなにくっついていたら、絶対に北見さんに伝わっちゃう。

かといって、腕を緩めるのはもっと怖い。


ハンドルが右に左に切られるたびに、北見さんに回した腕の力を強めた。


こんなことなら、クッションでも持ってくるんだったわ。

北見さんとの間にクッションでも挟めば、この鼓動は伝わらなかったのに。

それが何よりも悔やまれてならなかった。



「カコちゃん、」


赤信号で止まったところで、北見さんが私に頭を寄せた。


「あのさ、もう少し身体を預けてくれない?」

「はい?」