すぐに戻った滝山からヘルメットをもう一つ受け取ると、北見さんは「行くぞ」と私の背中を押した。
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
何が何だか分からないまま、北見さんについていく。
バイクを停めてあるところまで着くと、二つ抱えていたヘルメットのうちの一つを私の頭に被せる。
「バイクに乗ったことは?」
「……一度だけ」
滝山と家から逃亡したときに。
「それじゃ大丈夫だな」
「大丈夫かどうかは……」
不安なところだ。
あの時だって、ひどい有様だったのだから。
「あれ? 銀さん、随分と派手にコケたな」



