薫子様、一大事でございます!


あの一件から1ヶ月。
ペット探しの依頼すら来ないというのだから。


これは、事務所の死活問題。

滝山の副業にばかり頼っているわけにはいかないのだった。


「……私って、本当にダメですね」


安易な気持ちで探偵事務所だなんて。

依頼を呼び込む努力もしないで。

世間知らずだと言われて当然だわ。


ガックリうな垂れる私の頭を北見さんがポンポンと撫でた。


「ま、これから頑張ればいいんじゃん? そんなに落ち込むことはない」

「……間に合いますか?」

「人生に遅すぎることは何一つない。……なんてね」


北見さんが笑う。