薫子様、一大事でございます!


「それでは、肉の買い出しは後で私が行って参ります」

「任せたよ、銀さん」

「さてと、私はバイクを取りに行かなくては」


事務所を出た滝山の背中を見送り、ソファにドーンと腰を下ろした。


お金がない。
それを改めて突き付けられた気分だった。


その上、新たな課題まで噴出。


「作れるかしら……」

「カレーなんて、誰にでも作れるよ。市販のルーがあれば、不味く作ることの方が難しい」

「……そうでしょうか」

「仕方ないから、俺も手伝ってやるよ」

「本当ですか!?」


すがりつく思いで北見さんを見つめる。