薫子様、一大事でございます!


「銀さん、少し甘やかしすぎじゃないですか?」


甘やかしすぎ……。


優しい口調ながら、鋭い突っ込み。


滝山に向けて輝かせた瞳は、見る見るうちに翳っていく。


随分な言われようだけど、北見さんの言うことに一理ある気がしなくもない。

何もかも滝山に甘えすぎているという自覚は、どこかにあった。


滝山が何でも許してくれるから、ついつい調子に乗っていたかもしれない。



「ですが、」

「いいわ! 私が作る!」

「薫子様! 何をおっしゃいますか!」

「いいのよ、滝山」


驚いて目を丸く見開いた滝山を手で制した。