薫子様、一大事でございます!


「北見さんが作ってくださるんですか!?」


つい目を輝かせてしまう。


「何言ってんだよ、カコちゃんが作るに決まってるだろ」

「――わ、私がですか!?」


実のところ、生まれてこのかた料理らしいことなんて何一つやったことのない私。

家にいたときには料理人がいたし、ここへ来てからは滝山がやってくれている。


北見さんだって、私が包丁を握ったところを見たことがないくせに。


……もしかして意地悪で言ってるの?


「いつまでも銀さんにやらせるつもりか? カレーくらい作れなくてどうするんだよ」

「だ、だってですね、」

「いいんですよ、北見さん。私が作りましょう」