湯殿から出てきた大和は真新しい着物に袖を通し、濡れた髪を後ろに流すと清めた刀と鞘を手に歩き始めた。
(…もう傷口もないな)
触らずともわかる店番の男より負わされた頭部の傷がまもなく完治しようとしているのだと。
「夢はまだ覚めないか…」
辺りを見回し"ならば濡れた髪に風を通そう"と考えた彼は馴染の場所へと足を向ける。
(…先客?)
やがて中庭にある東屋に向かっていた足はピタリととまり…視線の先にいる男の姿を視界に捉えた。
「……」
黙ったままその人影に近づく大和。そして…
「俺を待ってたんだろう?小言なら今のうちに言うんだな」
東屋に入ってきた大和は漆黒の男と距離をあけて立ち止まる。
「……」
しかし九条は遠くを見つめたまま口を開こうとしない。
「…相変わらず無口だな九条。悪いが…用がないならこの場所をあけてくれないか?」
何も先客がいるのなら立ち去ればよいのは大和のほうだが…
「ここはお前の特別な場所だったな…」
突如口を開いた九条が静かに言葉を紡ぐ。
(…もう傷口もないな)
触らずともわかる店番の男より負わされた頭部の傷がまもなく完治しようとしているのだと。
「夢はまだ覚めないか…」
辺りを見回し"ならば濡れた髪に風を通そう"と考えた彼は馴染の場所へと足を向ける。
(…先客?)
やがて中庭にある東屋に向かっていた足はピタリととまり…視線の先にいる男の姿を視界に捉えた。
「……」
黙ったままその人影に近づく大和。そして…
「俺を待ってたんだろう?小言なら今のうちに言うんだな」
東屋に入ってきた大和は漆黒の男と距離をあけて立ち止まる。
「……」
しかし九条は遠くを見つめたまま口を開こうとしない。
「…相変わらず無口だな九条。悪いが…用がないならこの場所をあけてくれないか?」
何も先客がいるのなら立ち去ればよいのは大和のほうだが…
「ここはお前の特別な場所だったな…」
突如口を開いた九条が静かに言葉を紡ぐ。