「きゃぁ…っ」


遠くを見つめるキュリオの耳に赤ん坊の興奮したような声が届いた。
はっとして腕の中に視線をうつすと、頬を染めた彼女が瞳をキラキラさせて景色に見入っている。


「ふふっ、ここが気に入ったかい?」


幼子はその言葉に再度はしゃぐような声をあげ、澄んだ瞳をキュリオに向けると見たこともない可愛らしい笑顔を見せる。



「……っ」



一瞬言葉を失ったキュリオは、今までに持ち合わせたことのない感情を抱かせるこの幼子に不思議な巡り合わせを感じた。