目の前に広がった小さな波紋はまるで自身の心をうつしたように揺らめいて、ダルドは複雑な気持ちを拭い去るように湯の中に全身を沈めていく…



彼はまだ迷いの中にいた。



…あの時キュリオが助けに来てくれなければ、猟師(キニゴス)たちにこの身は囚われ…今頃力のないダルドは簡単にその命の灯を消されていただろう。



(ぼくは…人間が怖い…彼らのもつ剣も弓も…)



暗闇の中…ギラリと不気味に光る猟師(キニゴス)たちの刃を思い出し、またダルドの体は小刻みに震えてしまう。



(…どうしたら、いいの…っ…)



零れ落ちた涙は…キュリオの力が満ちたこのあたたかい湯に溶けて、傷ついた彼の心と体を慰めるように優しく包み込んでいく。




(…ごめん、…キュリオ…)




(…ごめん…)